野良猫☆首輪猫の雄太

野良猫☆雄太

  我が家の猫になれなかった猫(2)
首輪模様の野良猫の雄太


今から3年前頃、
黒と白のブチで、首に首輪をしている様な白い輪型の毛色の野良猫ちゃんが
我が家の回りをウロウロする様になりました。

メス猫かと思う程、小さな体型ですが、タマタマちゃんが付いていて、
オスと解りましたが、子供の頃からひもじい思いで生きて来て、
大きくなれなかったのだろうと思うと、あわれな思いで見ていました。

人を見るとオドオドしていて、いじめられ慣れてるのが解ります。
ミナコとケンカするのが心配でしたが、もう、ひもじい思いだけはさせたくないと思い、
姿をみせるとエサを上げる様にしました。

常時エサを置いておくと、他の野良猫のえさ場となり、ケンカの元です。
害をあたえない人間と解っていても、食べたいけど近寄れないで帰ってしまったり、
来たり、来なかったりが1年程、続いたでしょうか。

すぐ近くですが、隣の町内を歩いている姿を見たりするので、
エサ場は結構広範囲の様なので、少し安心もしたのです。
ミナコの猫道を通って、我が家の塀からトイレの窓に渡した渡り板から、
家の中に入っていたこともありましたが、見て見ぬ振りをしていました。

首輪猫の名前ではかわいそうかな? と思った時、何となく雄太という名が浮かびました。
そして、石原慎太郎都知事が、弟の裕次郎さんを、祐、祐と可愛がっていた事を思い出し、
ニックネームを「祐」にしました。

冬のある日、咳をしているので、薬を飲ませたかったのですが、
近づけず、いつ姿をみせるか解らないので、食事に混ぜる事も出来ずにいました。

それから数日が過ぎた日、我が家のトイレの中に座り込んで、
梅干し大の胃液を吐いている雄太がいました。

いつ迄も、雄太の為にトイレを我慢出来ず、逃げ出すのを承知で入っていったのですが、
洋式トイレの足元に座ったまま、ズボンの裾が触れても座ったままです。
逃げ出せない程、具合が悪いのか…。

捕まえるのに、良いチャンス! 
病院に連れて行く為、キャリーバックを用意してもう一度トイレに行くと、
捕まえようとする気配を察してか、トイレの中窓にも付けた、猫用の登り板を使って、
パッと、窓の外に出てしまいました。

それが、雄太の姿を見た最後になりました。


姿を見せない雄太を日々、トイレの窓から、家の回りから、
「雄太、祐、祐、オイデ〜」と呼びかけましたが、姿を見せません。

可成り具合が悪そうだったので、どこかで死んでしまったのだろうか…。

何日か後、隣の町内で見かけ、祐、祐、と呼びかけますと、
立ち止まって、こちらをじっと見ていて、
それからゆったりと歩いて、家並みに消えていく事が何度かあったので、
新しいエサ場も見つかって、元気で居るのならいいわ!
 と安心しました。

春のある日、蠅が数多く飛んでいたので、
また、ミナコがお土産のネズミか小鳥を、ほったらかして、
ウジでもわいたかと、物陰を探していて、
トイレの側の外階段の裏奥に、外壁を背に、座り込んだ形で息絶えてる、
雄太の姿がありました。

猫のお座りではなく、外壁に背を持たせかけて、
人間がくつろいで壁にもたれて座る様な形で、
遠目には笑っている様にも、微笑んでいるようにもみえます。

びっくりして、近くによると、身体の回りはウジだらけ、
笑っている様に見えた目から鼻から、ウジが涌き出てきます。

でもちょっと離れて見ると、口がかすかに開き、
本当に笑っている様に見えるのです。
猫が笑う姿、想像するのもおかしいですが、
何度も言う様ですが、本当に笑っている様に見えるのです。

トイレから飛び出た後、ずっと、この場に居たのでしょうか?

私が雄太の名前を呼んでいる声を聞きながら、
息絶えたから、笑っている様に見えるのかと思っています。

生きている間、食べ物探しで苦労したであろう猫(人)生、
最後、おだやかに終わった様で良かったと思っています。

雄太がいなくなってからも、隣りの町内で、
また雄太そっくりの首輪猫を見かけました。
雄太だと思っていたのは別の猫だったのです。
猫にも一卵性双子があるのでしょうか?

雄太が亡くなった後に気が付いたのですが、
トイレの中と、近くの壁にオス猫のスプレーの跡を見つけました。
多分、雄太が付けたものでしょう。
消そうと思ったのですが、雄太の生きたあかしとして、まだ消せないでいます。


猫が笑う…と言えば、
ニャーが死んだ時の写真が、やはり笑っている様に見えます。
口元が何となくほころんでいるのです。

満足して生を終えると、
猫でも笑った様な、おだやかな顔になるのでしょうか…。

飼い主の自己満足な考え方だと笑われそうですが…。